接骨院(整骨院)は「病院」ではありません。そのため、健康保険が使えるのは限られたケースのみとなります。
たとえ「各種保険適用」「保険取り扱い」と看板などに掲示されていても、健康保険が使えるのは上記の場合に限ります。健康保険が使えない場合は全額自己負担となりますのでご注意ください。
[保険証が使える場合] |
[保険証が使えない場合] (健康保険適用とならない) |
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医療機関を受診することができず、かつ外傷性が明らかな負傷の場合のみです ●骨折、脱臼 (応急処置を除き、継続してかかる場合は医師の診察と同意を得ることが必要です)
●捻挫、打撲、挫傷(肉離れ) |
●医療機関を受診できる状況にありながら自らの意思で接骨院にかかったとき(忙しくて病院に行けないから、病院は待たされるから、接骨院の方が治るから等の理由は認められません)
●単なる疲労性・慢性的な要因からくる肩こりや腰痛、筋肉疲労などへの施術
●病気(ヘルニア、神経痛、関節炎、リウマチ、五十肩、偏頭痛、脳疾患の後遺症などの慢性病)への施術
●特に症状の改善がみられない長期にわたる漫然とした施術、慰安目的のマッサージ代わりの利用
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(注1)健康保険法 第87条
接骨院等を開業して、柔道整復術による施術を行うことができる国家資格が「柔道整復師」です。国家試験を受験し合格しなければ柔道整復師にはなれません。柔道整復術は伝統療法・代替医療の一つで、医師の行う医療行為ではありません。このため、医師による治療と区別するために「施術」と呼んでいます。
柔道整復術の源流は柔術とされ、骨折・脱臼・捻挫などのけが(外傷)を手術などを行わず整復・固定する施術を行い、人間の治癒力を最大限発揮させる技術です。
医療機関を受診することができず、接骨院・整骨院で健康保険を使って治療を受ける場合は、下記の点に注意して正しく健康保険を使いましょう。
負傷原因を正確に伝えて健康保険が使えるかを先に確認します。原因がはっきりしない痛みの場合は医師の診察を受けましょう。また、交通事故など第三者行為による負傷の場合は、先に健保組合に連絡してください。
受けた治療の記録にもなりますので、通院のたびに領収証を必ず受け取って、後日、医療費通知と突き合わせて間違いがないかを確認してください。領収証は医療費控除を受ける際にも保存が必要ですから、大切に保管しておきましょう。
治療後に署名を求められる「療養費支給申請書」は、保険請求に使うための大切な書類です。白紙で署名せず、記載内容を確認して自筆で署名をお願いします。代筆が認められるのは利き手の負傷などでご自身が記入できない場合だけです。住所欄には郵便番号、電話番号を忘れずに記入してください。
<記載内容の確認点>
・負傷部位(体のどこの部分を負傷したか)
・負傷日
・施術を受けた日数や施術日
・窓口で支払った金額
当健康保険組合では「健康保険で受けた柔道整復師の利用が適切だったか」を、文書または電話により確認させていただく場合があります。照会があった際は、ご自身で回答いただきますようお願いいたします。
回答がない場合や正しく健康保険が使われていないときは、健保組合が負担した給付費(施術費)を返還していただくこともあります。
接骨院・整骨院からの療養費の請求の中には、利用者の健康保険に対する理解不足から、健康保険対象外の施術が含まれているケースがあります。また、一部では柔道整復師による療養費の不正請求の事例が指摘されています。このため、厚生労働省では健康保険組合に対して不適切な療養費の請求を防ぐ取り組みを求めています。
不適切な健康保険の利用を防ぎ、大切な保険料を適正に使うためにやむを得ず行う調査ですので、なにとぞ、ご協力をいただきますようお願いします。