被扶養者認定について

被扶養者とは

被扶養者の定義

被保険者の収入などで生活が維持されているご家族は「被扶養者」に該当すると健康保険の給付を受けることができますが、健康保険の「被扶養者」となるためには、生計維持要件の他に健康保険法などで決められている条件を満たす必要があります。

税法上の「扶養親族」や会社規定上の「扶養手当」「家族手当」とは基準が違いますのでご注意ください。

 

被扶養者資格のチェックシート】⇒ こちら

 簡易チェックシートとなりますので、認定基準の詳細については必ず以下をご確認ください。

被扶養者の認定基準

被扶養者として認定されるには、いくつかの条件(認定基準)を満たす必要があります。諸条件については次項以降をご参照いただき、条件を満たしている場合には、扶養申請の手続き(被扶養者異動届の提出)を行ってください。

また、認定を受けていた者が条件を満たさなくなった場合には、速やかに扶養削除の手続き(被扶養者異動届の提出)を行ってください。

被扶養者認定の原則

被扶養者になることができるのは、国内に住所を有する被保険者本人から見て3親等内の親族で、収入が基準額であり、継続してその生活費の半分以上を被保険者が負担し、生計を維持されている人です。

国内居住

・日本国内に居住していること

被扶養者は原則として日本国内に居住しており、国内に住所があることが条件となります。住所を有するかどうかの判断は、原則として住民票の有無(住民基本台帳に住民登録されているか)によって判断します。

ただし、住民票が日本国内にあっても、海外で就労しており、日本で全く生活していないなど、明らかに日本での居住実態がない場合は、国内居住要件を満たさないものと判断します。

※現在健保組合の被扶養者で日本国内に居住している。または、今後日本国内に居住する方で、下記に該当する人は、国内居住要件の例外として被扶養者から除外されます。(健康保険法施行規則第37条の3)

【日本に住所(住民票)があっても例外として被扶養者から除外される人】

①日本国籍を有さない人で、医療目的で来日する人(医療滞在ビザ)とその人の日常生活の世話をする人

②海外で就労しており、日本でまったく生活していないなど、日本国内に生活の基盤がないと判断される人

③1年を超えない期間で観光・保養等で来日している人

 

◆国内居住要件の例外

外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、国内居住要件の例外として被扶養者になることができます。その場合は別途添付書類の提出が必要です。

必要な書類についてはこちら

扶養認定日

被扶養者(異動)届および必要書類一式が提出され、健保組合が扶養の事実を認めた日が認定日となります。ただし、出生の場合は出生日を認定日とします。

・届出は原則5日以内となっていますが、やむを得ない理由で遅れた場合、14日以内に健保組合へ提出していただければ、事実発生日まで遡って認定します。

(雇用保険(離職票等)の添付書類は、最大30日以内に提出のこと。)

・14日以上遅れた場合、および、書類不備の場合は、全ての書類が完成して健保組合に届いた日を認定日としますので、必ず届け出る前に、被扶養者(異動)届・扶養者現況届の記載内容や添付書類を確認してください。

 被扶養者の範囲

被扶養者の範囲は法律で決められており、3親等内の親族となっています。被保険者と同居していなくてもよい人と、同居が条件となっている人がいます。

被保険者と「同居」・「別居」を問わない人
配偶者(内縁を含む)・子・孫・兄姉弟妹・父母など直系尊属

被保険者と「同居」が条件の人
1.上記以外の三親等内の親族(義父母等)
2.被保険者の内縁の配偶者の父母・連れ子

 

◆就労可能な年齢の場合は就労できない状態の証明が必要
16歳以上(義務教育修了後)から60歳未満の人(配偶者を除く)は、通常、就労可能な年齢にあり、被保険者の経済的支援がなくても自立して生活できると考えられます。このため、被扶養者になるためには就労できず、被保険者が生活費のほとんどを援助しなくてはならない状態にあることを証明する書類を提出する必要があります。

 

◆同居の定義
同居とは、同一家屋に居住していることをいいます。ただし、同一敷地内であったとしても世帯分離(世帯主が複数いること)していたり、住所表示が違っている場合は、同居と認められません。

被扶養者の収入基準

被扶養者になる人の収入は、年間130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)未満であること。かつ、連続する3カ月の平均収入月額が108,334円(60歳以上または障害者は月額150,000円)未満であることが基準となります。

※収入の額は直近の収入から将来1年の収入を見込んで判断します。(パート収入等で平均収入月額が基準をオーバーしている場合で、”年間(1月~12月)で基準内に抑える予定”との理由では、原則認められません。)

被扶養者の年齢

収入限度額

59歳以下

①月額108,334円未満 かつ ②年間収入130万円未満

60歳以上(または障害者)

①月額150,000円未満 かつ ②年間収入180万円未満

 

被扶養者の収入となるもの

(1) 給与収入(パート・アルバイト・内職を含む)
(2) 各種年金(厚生年金・国民年金・公務員等の共済年金・農業者年金・船員年金・石炭鉱業年金・議員年金・労働者災害補償年金・企業年金・自社年金・障害年金・私的年金・非課税扱いの遺族年金 等)
(3) 恩給収入(文官恩給・旧軍人恩給・旧軍人遺族恩給 等)
(4) 事業収入(自家営業・農業・漁業・林業 等)
(5) 不動産収入・利子収入・投資収入・雑収入
(6) 雇用保険からの給付金(失業給付または傷病手当)、健康保険からの傷病手当金や出産手当金
(7) 被保険者以外の者からの仕送り(生計費,養育費 等)
(8) その他継続性のある収入

※(6)雇用保険からの給付金(失業給付または傷病手当),健康保険からの傷病手当金や出産手当金等の休業補償を受けている方は、その受給期間中は原則認定対象外となります。ただし、基本手当日額が3,612円未満(60歳以上は5,000円未満)の場合は、被保険者により生計が維持されていると判断し、扶養申請が可能となります。

 

◆収入の算出方法と注意

収入は退職金等の一時的な収入は除き、下記の基準で算出します。

  給与収入 自営業などの
事業所得
収入に対する
考え方

給与収入などを受けている場合、扶養者となる方の収入は所得金額ではなく、税金控除前の総収入金額(賞与・通勤交通費を含む)で判断します。

認定申請時は、直近の収入により推計することになります。

自営業(農業・漁業等の従事者を含む)をしている方は、所得証明書および確定申告書(税務署受付印のある写)の総収入額で判断します。
年間収入の
算出方法

{(直近3ヶ月の総支給額の合計 ÷ 3)× 12ヶ月)}
+(賞与×支給されている回数)

※給与、賞与とも、税控除前の総支給額。通勤交通費も含みます。
※専従者給与収入の場合は、前年度の確定申告書にて申告した金額です。

売上金額とする。

◆事業主の証明による被扶養者認定の円滑化 (「年収の壁」対応) についてはこちら

 生計維持関係

被扶養者として認定されるためには、被保険者がその家族を経済的に主として扶養している事実があることを証明する必要があります。

「主として被保険者によって生計を維持されている」とは、具体的には継続的に生活費の半分以上を被保険者が負担していることをいいます。申請対象者の収入などが基準内であっても、被保険者による生計維持の事実が確認できない場合は被扶養者にはなれません。

(1) その家族の年収は、被保険者の年収の1/2未満であること。

(2) 別居の場合の仕送り基準額
 該当家族(被扶養者)へ、毎月定期的に下限基準額以上の金額を仕送りしていることが必要。また、その家族の年収より被保険者からの仕送り額が多いこと。

◆仕送りの下限基準額
1人につき60,000円/月(対象者の年収が72万円以下の場合)

 

◆仕送りの記録(証明書類)
『銀行振込(写)』等、仕送り元・仕送り先・金額が判るものを保管してください。
 ※被保険者の単身赴任による別居、子供が学生で進学による別居は除く。

 継続的な扶養能力

生計維持の認定では、被保険者に継続的な扶養が行える経済的能力があるかも確認します。被保険者の生活が成り立ち、なおかつ被扶養者に継続的に援助を行うことができるかを判断します。

 共働きの場合の扶養

共働き等で同じ家庭に経済的な扶養能力がある人が複数いる場合は、収入や扶養の義務、家庭内の状況などから家計の主体となる人を選び、その人が被扶養者全員を扶養します。家計の主体となる人は、原則として継続して収入が最も多い人になります。

例えば複数の子供がいる場合では、父母で分けて扶養することは健康保険法で認められていないため、父か母のいずれかが子供全員を扶養します。

被扶養者認定状況の確認(扶養状況調査)について

被扶養者資格認定後、被扶養者としての基準を満たしているかを確認するために、必要に応じて定期的または随時被保険者に対して、証明書類等の提出をお願いします。

定期または随時の調査の際に書類が提出されなかったり、調査の結果、被扶養者としての資格がないと判定された場合は、被扶養者資格が失われたと判定された日にさかのぼって被扶養者を削除します。

ただし、故意または悪意による虚偽の記載あるいは申し立てがあった場合は、被扶養者資格を付与した日に遡って削除します。このため、当該期間にわたって発生した医療費の全額及びその他給付金について、過去にさかのぼって全額を返還しなくてはなりません。

※仕送り等の記録(証明書類)は、必ず2年間は保管してください。

被扶養者認定の手続き

新たに家族を扶養し、健康保険の「被扶養者」の資格を得るためには、健保組合の「認定」を受ける必要があり、『健康保険被扶養者(異動)届』に次の書類を添付し届け出ることになっています。
 

そのためには、被保険者が扶養している事実を証する書面を整え、扶養認定の条件に適合していることを自ら証明しなければなりません。

必ず提出する書類
区   分 添 付 書 類
『所得証明書』、および学生の場合『在学証明書』または『学生証』(写) 『住民票』
(世帯全員)
(続柄記載)
『被扶養者現況届』






  配 偶 者
16歳以上
16歳未満 ●(出生除く)
  実 父 母
兄 姉  
弟妹 ・ 孫 16歳以上
16歳未満




  義 父 母
甥 ・ 姪 16歳以上
16歳未満
伯父・伯母・叔父・叔母

 

状況に応じて提出する書類

雇用保険・申請手続きを行う方

『離職票-1と-2』(取得が遅れる時は『退職証明書』と『遅延理由書』))

雇用保険・申請しない方

『離職票-1と-2』または『資格喪失確認通知書』(写)

雇用保険・受給終了の方

支給終了印のある『雇用保険受給資格者証(第3面)』(写)

雇用保険・受給期間延長の方

『受給期間延長通知書』

雇用保険・未加入の方

『源泉徴収票』または雇用保険未加入

直近3ヶ月分の仕送りを証明する書類(『銀行振込(写)』等、仕送り元・仕送り先・金額が判るもの)

直近3ヶ月分の『給与明細』(写)および『パート証明書』

『パート証明書』と『健康保険資格喪失証明書』

『辞令』(写)または『健康保険脱退証明書』

直近の『年金振込通知書』(写)または『年金額改定通知書』(写)

『確定申告書』(写)と『収支内訳書』(写)

『廃業証明書』または『廃業届出書』(写)

『外国人登録原票記載事項証明書』または『戸籍謄(抄)本』

その者の『所得証明書』

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国内居住要件の例外となる場合と添付書類
例外該当事由 証明書類
1 外国において留学をする学生 査証、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し
2 外国に赴任する被保険者に同行する者 査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書等の写し
3 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的での一時的な海外渡航者 査証、ボランティア派遣機関の証明、ボランティアの参加同意書等の写し
4 被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、2と同等と認められるもの 出生や婚姻等を証明する書類等の写し
5 1から4までに掲げられるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者 個別に判断しますので健康保険組合へお問い合わせください。
※書類等が外国語で作成されている場合、翻訳者の署名がされた日本語訳も添付してください。

よくある質問

被扶養者に関するよくある質問

失業保険を受給中は被扶養者になれません

雇用保険の基本手当を受けている期間中は主として被保険者が生計を維持しているとは認められないことから、被扶養者になることはできません。ただし、次の場合には被扶養者になることができます。

①雇用保険の基本手当日額が3,612円(60歳以上の方は5,000円)未満の場合
②雇用保険の基本手当を受給されるまでの給付制限期間
③妊娠、出産等による受給延長期間

扶養の実態や被扶養者になる人の年収などから総合的に判断して、被扶養者になる条件を満たしている場合は被扶養者になることができます。
被扶養者としての条件を満たさず被保険者が扶養している実態がない場合に、単に給付内容がよいからという理由で、家族を被扶養者にすることはできません。被扶養者にするためには、被保険者によって実際に扶養されていることなどの条件を満たす必要があります。
75歳以上の高齢者はすべて後期高齢者医療制度に加入するため、被扶養者にはなれません。
75歳以上の高齢者はすべて、加入している医療保険を抜け、改めて後期高齢者医療制度に加入しなおします。このため、収入など被扶養者の基準を満たしていても、被扶養者にすることはできません。
 
また、被保険者が75歳になったとき、被保険者は健保組合の加入資格を失います。そのため被扶養者が75歳未満であっても健保組合の加入資格を失うことになり、ほかの医療保険に加入しなければなりません。
同居していないので、被扶養者にはできません。
義理の父母を被扶養者とするには、被保険者によって主として生計を維持されており、収入など被扶養者としての条件を満たしていることに加えて、同居していることが条件になります。したがって、別居している場合には被扶養者にすることができません。
在学証明書や所得証明書です。
たとえば、学生については「在学証明書」などで証明できます。それ以外の人なら市区町村長発行の「所得証明書」がこれにあたります。必要な書類は状況によって異なりますので、必要書類をご確認ください。

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